ねいぴあの雑記帳

ドミニオンとか将棋とかミステリとか脈絡のない雑記帳

Nightカードについての注意点

ドミニオンのことについて筆を取るのはえらく久しぶりな気がします。忙しくて気力も体力も磨耗しきっていて、stefドミ触らない期間が長かったせいだと言い訳させてください。

 

今回触れるのは新拡張、Nocturneから登場したNightカードについてです。

 

 

そもそもNightカードってなに?

 

 

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↑の画像のように「夜」を意識して黒っぽい色合いのカードで、カードの属性はそのまま「夜」または「Night」と記載されます。

購入フェイズ終了後に新たなフェイズである「Nightフェイズ」で手札にあるNightカードを好きな枚数だけプレイできます。

 

 

注意点その1  (一枚を除き)アクションカードではないこと

 

まあ、今回書きたいはすでに上記のNightカードの説明で触れてはいるのですが。より具体的に書いていきます。

 

まず1つ目として、Nightカードはアクションカードではないことが注意点として挙げられます。(一枚だけ、人狼はカード属性にアクションも併記されています)

カードの効果としては既存のアクションカードに近い効果を持つものもあるのでややこしくはあるのですが。

 

さて、アクションカードではないからなんなのさというと下記のようなプレイ中の注意点が挙げられます。

 

・鉄工所で獲得時の+1アクションのボーナスがない

・金物商の効果で山札から公開しても+1アクションのボーナスがない

・市街の効果で手札公開したときに、手札にあってもドローできない

・念視の泉で山札から公開した場合、そこでドローが止まる

カササギの効果で山札から公開してもカササギは増殖しない

・家臣の効果で山札からめくれても使用できない

 

などなど…

 

要は「アクションカードであった場合」系の効果は全て得られないということですね。

 

 

注意点その2  使用タイミングは購入フェイズ終了後であること

 

Nightカードは購入フェイズ終了後のNightフェイズで使用することは先に述べた通りです。

では、そのことが与える影響とは?この項では解説を加えながら挙げていきます。

 

・策士を打ったターンには使えない

 

 

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策士の使用時効果は「手札を全て捨て札にする、そうした場合次のターン開始時に+5カード、+1アクション、+1購入」です。つまり、アクションフェイズ→購入フェイズ→Nightフェイズの順でゲームは進行するため、打ちたいNightカードがあっても策士を打ったターンはアクションフェイズですので、手札のNightカードは捨て札となり使えません。

 

ちなみに、筆者はstefドミで夜襲を複数枚絡めた策士ループ組もうとして悲惨なことになった過去があります。

 

 

・相手の呪いの森が持続中は要注意

 

 

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呪いの森のアタック効果は、「カードを購入したとき、手札全てを任意の順番で山札の上に乗せる」です。前述の通り、購入フェイズ終了後にNightフェイズがくるため、カードを購入した瞬間はまだNightカードは手札にあります。そのため、カードを購入したターンはNightカードが山札の上に移動するため打つことができません。どうしてもそのターンにNightカードを使いたければ、何も購入しないか、イベントの購入のみに留めましょう。

 

 

・焚火で廃棄できない

 

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イベントである焚火の効果は「このイベントを購入時、場に出ているカードを2枚まで廃棄できる」です。

これまで繰り返し述べてきた通り、Nightカードの使用タイミングは購入フェイズ終了後。つまり焚火を購入するときには場に出ていないので破棄できません。

不要になったNightカードは焚火では廃棄できないということですね。

 

以上に注意して新要素であるNightフェイズを堪能しましょう!

 

2018.5.13 県名人戦 その3

準決勝でヨレヨレになりながらもなんとか決勝へ。決勝の相手は昨年から県大会に出場し始めた元奨励会3段のK氏。全国大会いけば元奨の人達と当たること考えれば、こんな地方の県でその練習ができるというのはありがたい一方、倒さないと全国大会には出れないと考えると一長一短ではあります。

ただ、定期的に格上のレベルの将棋に触れあえる機会があるメリットも踏まえると、個人的には大きなプラスだとは思っていますが。

 

 

勝戦

 

決勝はお相手K氏のツノ銀中飛車居飛車穴熊で対抗。準々決勝・準決勝ともに対抗形の将棋で居飛車穴熊で勝ってきたのでゲン担ぎ。

 

下図は5五の地点で歩交換したところ。

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敵陣の形を乱すチャンスと思い☗6五歩としましたが、どうだったか。以下、☖5一飛☗6四歩☖同銀☗8六角の展開を読んでいましたが、K氏はばっさり☖5七飛成。

飛車桂と金銀の交換で、二枚換え未満かつ玉側の桂が消えるので、軽視していましたが、前述の進行に不満なら確かにこれしかないところで、もうちょっと考えてからやるべきところでしたね。

☗同金☖6五桂で考える。

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普通は☗6六(6八)角として、☖5七桂成☗同角の下図の進行が想定されます。

 

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ここで気にしたのは☖5六金。角を7九か3九に逃げて☖5七歩で大駒が使えない展開は自信なし。というわけで、渋々☖6五桂の局面で☗6七金寄としたのですが、これではなんのために☗6五歩としたのか謎ですよね。

ちなみに、局後に準決勝で対局したS氏に「☖5六金なら☗6八角として9五や8六への転換を見れば先手良しでは?」と指摘されたのですが、確かにその通り。☖5六金☗6八角に☖6七銀が厳しいと即切り捨てたのですが、よく考えれば☗9五角が切り札になりそうで後手としてもやりずらいですよね。

感想戦でK氏の予定では、上の図から☖4五歩とのこと。それであれば☗5六歩と敵の打ちたいところへ打ての格言通りで難しい戦いが続いたような気がします。

 

本譜は☗6七金寄☖7七桂成☗同金寄に☖4五歩とされ、苦戦を意識しつつ進行。

 

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しばらく進んで上の図に。

直前の☗8六香は手応えある香打ちでしたが、じっと☖9四歩とされてここで何も無いんですね。次に☗7三桂打の狙いで☗8五桂としましたが、じっと☖5二銀左とされて観念しました。後手陣の金銀の連結の良さたるや・・・

一歩でもあれば話は違うんですが、あいにくの歩切れ。

 

このあとは丁寧に指されて全く勝負所がこないまま終局。

 

 

勢い込んで☗6五歩と喧嘩吹っ掛けたのはいいですが、誤算があったとはいえその後の指し手は消極的過ぎましたね。☖6五桂に角を逃げなかったのは、相手のネームバリューにびびってしまってその後の進行に自信を持てなかったのも一因のような気がしています。

 

代表取れなかったのも残念ですが、将棋になっていなかったのも輪をかけて残念。せめて次当たるときはもうちょっと好勝負を演じたいものです。

 

 

2018.5.13 県名人戦 その2

 準々決勝を予想外の快勝で終え、準決勝へ。

 

対戦相手は前の記事でも出てきたS氏。↓の記事です。

 

napier2784.hatenablog.com

 

去年のこの大会の決勝でもあった対戦カードで、代表決定戦でよく当たっているイメージがあります。

 

準決勝

 

準々決勝に引き続きノーマル四間飛車居飛車穴熊。後手3二銀型に6八角型で対抗して下図。

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局後に対局相手のS氏から指摘されましたが、この局面って1筋の突き合い入っていれば阿部健治郎プロの名著『四間飛車激減の理由』に載ってますよね。正直忘れていましたが。

言い訳すると、全国大会出てもノマ四間と当たることはほとんどなく、勉強する優先順位が低いってのと、社会人になってから定跡本が覚えられなくなってきているんですよ。中高生の頃の記憶力戻って来ないかなー

 

・・・話がそれました。正解手は実際に本で読んでいただくとして、本譜は☗4六歩☖同歩☗同銀と進めます。このときに良くある反撃筋の☖6五歩には☗5五歩で受け止められます。(このときに後手の5筋の歩が5四なら☗5五歩☖同角☗同銀☖4九飛成に☖4六銀とするしかなく、振り飛車に正確に指されると先手悪い。)

 

どうしてくるかと考えていたら(☗4六同銀の局面における後手の正解手も前述の『激減の理由』に載ってます。マジであの本情報量多すぎてすべてを理解するの大変)、S氏はじっと☖4一飛。

 

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☗4五銀で押さえ込み完了・・・と考えていたら☖1五角があるんですよね。1筋側の端歩はよく「居飛車の税金」と呼ばれていますが、滞納したツケがまわってきました。ここで☗1六歩とするようでは証文の出し遅れ。このあたりから本局の作りにチグハグ感が出始めます。

 

 

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ちょっと進んで上の図に。角の動きを楽にするために4五の位を取りましたが、この地点は銀や桂が進む地点。今見返すと4七から打つべきだったのですかね?

さて、この局面で方針がさっぱりたたずに苦心しました。☗3五歩は流石に無理だし、☗6五歩も☖7七角成で取る駒がない。やるなら5七~6八~7九と銀を引きつけ松尾流に組むか。ただ、☖5五歩とか☖4六歩とか気になりますよね。

ただ悩んでも時間はすぎるばかりなので、手渡しで☗1五歩☖1二香☗2九飛☖9二香と進行。☗2九飛で将来の3六歩の当たり弱めたのでそろそろかと判断して☗3五歩を決行しましたが、☖9六歩で青褪める。

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わざわざ☖9一飛車の余地作って端攻め準備万端のタイミングで、なぜ歩を渡す動きしてんの!!

 

しまった、やらかしたー・・・と呆然としながら下図に進行。

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とりあえず歩は渡せないと思い☗3四歩。そうしたら☖1一角と引かれて3六に傷もできてしまい、受けるなら☗2六飛だけど、ついでに飛車先切った方がいいか、と☗2四歩☖同歩☗同飛。

何かのはずみで☗2二歩で角筋シャットアウトできるし、ここは☖2三歩でそこで☗2六飛としてなんとか端攻めもちこたえられたら御の字・・・とか考えていたら☖9七桂成でさらに青褪める。

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飛車死んでんじゃん!!!

 

☗同銀☖2三香に☗3三歩成で犬死ではないものの、一瞬だけ本気で投了考えました。

 

結構進んで下図。

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とりあえず大駒は取りかえしたものの、☖5六と☗同金☖9四歩で今度は角が死ぬ。ここまで悪くなったら考えても仕方ないので☗8四角と特攻。悪くなってしまったものは仕方ないので、相手玉の陣形に傷をつけておかないと逆転はあり得ない。

8四でバラして☗6五歩とちょっかいを出した下図。S氏に決め手があります。

 

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ここは☖6七角とすればほぼ終了。受けるなら☗6八桂しかないですが、☖7八角成で絶望。

本譜は☖8五桂☗8八銀引☖9五歩ですが、☗8六銀が根性で打った銀。駒の損得が関係ない玉頭戦にもちこんでワンチャン狙い。正直、物量差が酷いので、ひっくり返すのならばそれしか望みはないと思って指していました。

 

そんなこんなで進んで下図。一旦☖9六歩と取り込んだ歩を成り捨ててこの図になっているあたり、後手も変調をうかがわせる進行です。

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 ここから☗9六桂☖8三歩☗4二角☖6三金引☗2四角成と進みもしかしたら逆転したかもと手ごたえを感じました。2四の馬が将来的にいいポジションに設置できそうですし、6八に利いているため横からの攻めをほぼほぼ食い止めています。そしてなにより、9六の歩を成り捨てたことがマイナスになっています。

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あきらめずに頑張っていればいいことあるもんですね。

とはいえ、油断は禁物。このあとも玉頭でのねじり合いを続けて約40手後。

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ここで安直に☗9六銀として自玉の安全を図ろうとすると☖9七歩で怪しい事になります。そのため、☗7四歩からたたき合いへ。

以下、☖8八桂成☗同銀引☖9六歩☗7三歩成☖同金☗9六銀☖9七歩☗同銀☖同角成☗同桂☖9六飛と進んで下図。

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自玉が詰まなければ詰めろをかけて勝ちに見えます。が、しかし。読み切れないので本譜は☗8八銀。ソフトにかけるという事をしない文化圏の人間なので正解はわかりませんが、詰んでいなかったと思います。ただ、詰まなかったとしてもうっかり逃げ間違いで頓死とかもありえるので、この判断は正しかったと思います。

以下、☖6九銀☗7七金寄☖7四香が詰めろではないので(さらに言えば☖6九銀も詰めろではないのでそこで相手玉に詰めろかけるべき)☗5三角としてやっと勝ちを手繰り寄せました。

 

最後はS氏の頑強な抵抗に遭って総手数191手。お互いに悪手や決め手を逃すなどしたせいで大熱戦に。久々に疲れ果てる将棋でした。

・・・それにしても、今から見直せばよくあの飛車詰んだ局面から逆転できたものだと思います。県代表同士でも、あきらめなければごく稀にこういうこともあるんですね。最近は淡白な将棋が多かったのですが、もっと粘るようにしないといけませんね。

 

 

これで2年連続の決勝進出。お相手は元奨励会三段のK氏。県代表を獲るための、最後にして最大の壁に対峙することになりました。

 

 

 (続く)

 

 

2018.5.13 県名人戦 その1

アマ名人戦全国大会、東北六県大会の県代表を決める表記の大会に出てきました。

 

2週にわたって行われる大会で、1週目はベスト8に進む7人を決め、2週目に前回優勝者を加え準々決勝からのトーナメントで行われます。

 

自分は前回大会運よく優勝したので2週目からの登場。2連覇を狙う戦いです。

 

 

準々決勝

 

抽選の結果、お相手は超有名アマ強豪を兄に持つN氏。進学先から就職で出身県に戻ってきた最近の自分の県ではよくあるパターンです。

 

N氏得意の四間飛車居飛車穴熊で対抗して下図。(先後反転しています)

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銀冠に組むこの瞬間がチャンスと見て仕掛けます。

☖7五歩☗同歩☖同角☗7八飛☖7六歩☗8八角☖7二飛。

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通常、上の図から☗7六飛でよく言われる「飛車と飛車の間に駒が挟まった方が悪い」図になるのですが、この場合は4七の金が浮いている事、かつこちらの金が3一であるため5七角成が成立するため不可。ここから☗3八金☖8六歩と進む本譜の進行なら仕掛けは成立してたのかなと思います。

 

ちょっと進んで下図。

 

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こちらの方針としては、振り飛車の動きを封じて8七のと金を活用できれば自然と勝ちになるだろうという大局観。少しいいかなと考えていたのですが、ここで☗1五歩☖同歩☗1三歩☖同香☗2五桂と端にちょっかい出されると角が質駒になっていることもあり難しい、というのが感想戦での結論。

本譜はここから☗2五歩☖3三金で怖い所がなくなり優勢を意識。4三の金が浮いている事と将来の端攻めがネックだったのですが、どちらもいっぺんに解消できました。

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憂いが無くなったらあとは殴るだけ。縦や端が絡まず、横からの攻め合いになった時の穴熊の信頼感たるや。

結果的に8七のと金を寄せていき理想的な局面ができあがりました。

たまにこういう勝ち方できるとやっぱり穴熊やめられねーわってなります。

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秒読みになる事無く勝利し準決勝へ。対戦相手は支部名県予選で負かされたS氏。リベンジといきたいところですがどうなるか。

 

(続く)

 

2018.4月読んだ本

4月はホント忙しかった。まさかの3冊のみ。

 

北山猛邦  踊るジョーカー

 

感想:

”気弱すぎる名探偵”音野順シリーズの第1作目。自分はうっかり2作目から読んだのですが、問題なく楽しめました。

タイトルになっている「踊るジョーカー」は流石の出来栄え。密室モノでこのプロットは初めて見ました。

その他の短編もなかなか凝ったネタが扱われていて堪能できました。

 

 

早坂吝  虹の歯ブラシ

 

感想:

メフィスト賞受賞作の「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」の探偵役、”援交探偵”上木らいちを主人公とした連作短編集。

前作はぶっ飛んだ仕掛けが用意されていましたが、今回も期待通り「青は海とマニキュアの色」で壮絶なバカトリック(褒め言葉)にしてやられました。

しかし、それで終わらないのが本作の恐ろしい所。全編通して違和感を覚えながら読み進めていたのですが、最終章でそれらが一気に回収される怒涛の展開は圧巻。オチに関しては好みの分かれるところかとは思いますが、肩の力を抜いて楽しめる一冊です。

 

 

北野新太  等身の棋士

 

感想:

「透明の棋士」に続く2作目。将棋界に訪れた藤井ブームの裏側や、棋士人生の岐路に立った棋士たちの内面を鋭く切り取った一作です。

正直、ここ最近は仕事が忙しいのもあって、全く将棋に触れられずに熱が冷めつつあったのですが、再燃のきっかけとなりそうな一冊でした。

 

 

 

2018.3月読んだ本

3月は疲れ果てて少なめの5冊を読了。

 

乾くるみ  物件探偵

 

感想:

"物件の感情が視える"というエキセントリックな探偵役の登場する短編集。謎やトリック自体は小粒な印象でしたが、人間の業の深さが垣間見え、不動産業界怖いなーと自分が小市民であることを再確認させられました。

 

天袮涼  謎解き広報課

 

感想:

自治体広報誌に焦点を当てた、連作短編集。天袮涼の連作短編には、「葬式組曲」や、「セシューズ・ハイ」といった、全編を通して貼られた壮大な伏線が特徴的で、そういった点を好んでいたのですが、本作を読んで氏の小説のもう一つの魅力に気が付かされました。それは、職業人の熱量がヒシヒシと伝わってくること。パワフルに動き回るスーパーマンのような登場人物を描いているわけではないのですが、プロットに絡めて半ば狂気にも似た信念を持って仕事に臨んでいる人々が描かれています。

この小説も、前述2作のような派手な結末が用意されているわけではないのですが、登場人物の仕事に対する熱意や愛情がしっかり書かれていて、こういうところも天祢涼のファンになった理由なのかなと自分のことながら新たな発見になった一冊でした。

 

市川憂人  ブルーローズは眠らない

 

感想:

前作"ジェリーフィッシュは凍らない"から、探偵役の刑事マリアと漣が再び登場する本作。一点だけ、アンフェアじゃないか?と思う部分はあるものの、着地点を見つけることのできないストーリーに、「一体この話はどう決着をつけるのだろう?」とグングン引き込まれる出来栄えでした。

"薔薇の蔦で覆われた密室"に被害者の首だけが残されるという、前作並の本格めいた謎を筆頭に、数多くの魅力ある謎が詰め込まれている快作です。

 

貴志祐介  極悪鳥になる夢を見る

 

感想:

貴志祐介のエッセイ集。あとがきで著者も述べているが、決して良質なエッセイ集ではない。…ないのだが、第I章と第II章は背筋が粟立つようななんともいえない味わいがあり、この2つの章だけなら味のあるエッセイ集となったように思う。それだけに他の章の出来がイマイチだったのは残念。

まあ、本業はエッセイストではないので別にいいのだけれども。

 

北山猛邦  密室から黒猫を取り出す方法

 

感想:

"気弱過ぎる名探偵 音野順"を探偵役に据えた短編集。北山猛邦の作品を読んでみようかなと思い、まずは音野順シリーズからと思ったのですが、実は本作は第2短編集。第1短編集と勘違いして手に取ったのですが、本作からでも問題なく読めます。

 

"物理の北山"の異名を持つ作者ですが、その異名どおりの作品あり、企みに満ちた作品ありで、非常に楽しめた作品集でした。

個人的ベストは倒叙式ならではの仕掛けが炸裂する「停電から夜明けまで」。

油断大敵

今日は地元の大会に出てきました。優勝すれば東北六県大会の代表権を得られる大会で、県の三大タイトルの位置づけで非常に格式あるタイトル戦です。

 

三大タイトル戦は1週目が予選会で7人を選抜。翌週に前回優勝者を加えた8人でトーナメントを行います。今日はその2週目。

 

抽選の結果、対局相手は前回優勝者のK氏。高校選手権でのかつてのチームメイトで、自分が将棋を始めたころからの仲。

 

将棋は最近たまに使うゴキゲン中飛車から優位を築くも、ヌルい手連発して差がつまり終盤へ。そして迎えた下図。☖5二歩と馬の位置を打診した手に☗5四馬とした局面です。(便宜上先後逆です)

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ここから秒読みの中で発見した次の手順が秀逸。

 

☖5六飛! ☗6五馬 ☖6一飛!!

 

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自陣の憂いを消して、遠く6九の金に狙いを定める飛車打ち2発。

数年に一度の妙手順、俺天才じゃねえのか などと有頂天になっていたら・・・

 

上図より、☗4三角☖6六飛☗6四歩☖6九飛成☗同銀☖7七金☗9八玉と進行。

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☖9五歩で将棋は終わり、飛車打ち2発はかっこよかったけど、優勢な将棋をもつれさせるこの感じ、準決勝以降も気を引き締めないとなーなどと一局を振り返りながら着手し時計を押したその瞬間。

 

・・・詰めろになってない!!!

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当然のごとく☗5四角成とされて呆然。☖9七桂成から☖9六歩で簡単かと思いきや、8六の地点がすっぽ抜けるんですね。

この図でもまだ☖6三歩としておけば難し目の終盤でしたが、呆けたまま☖9六歩としてしまい、ぴったり詰まされて負け。(ぜひ考えてみてください)

 

2つ上の☖9五歩突く前の局面ですが、☖8六歩☗同歩☖8七歩として、何か受けさせてから☖9五歩でしたね。冷静な目で見れば、基本手筋だというのに・・・

完全に思い通り事が運んで気が抜けていました。将棋の終盤はタイトル通り油断大敵。勝ちだと思っても気を引き締めて盤に向かわないと簡単にひっくり返るという事は何度も痛い目見ているというのにこのざまですよ。

 

☖9五歩が詰めろじゃないことに気が付いたときの、あの血が逆流するような感覚、しばらく夢に出てきそうです。