ねいぴあの雑記帳

ドミニオンとか将棋とかミステリとか脈絡のない雑記帳

2018.5.13 県名人戦 その2

 準々決勝を予想外の快勝で終え、準決勝へ。

 

対戦相手は前の記事でも出てきたS氏。↓の記事です。

 

napier2784.hatenablog.com

 

去年のこの大会の決勝でもあった対戦カードで、代表決定戦でよく当たっているイメージがあります。

 

準決勝

 

準々決勝に引き続きノーマル四間飛車居飛車穴熊。後手3二銀型に6八角型で対抗して下図。

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局後に対局相手のS氏から指摘されましたが、この局面って1筋の突き合い入っていれば阿部健治郎プロの名著『四間飛車激減の理由』に載ってますよね。正直忘れていましたが。

言い訳すると、全国大会出てもノマ四間と当たることはほとんどなく、勉強する優先順位が低いってのと、社会人になってから定跡本が覚えられなくなってきているんですよ。中高生の頃の記憶力戻って来ないかなー

 

・・・話がそれました。正解手は実際に本で読んでいただくとして、本譜は☗4六歩☖同歩☗同銀と進めます。このときに良くある反撃筋の☖6五歩には☗5五歩で受け止められます。(このときに後手の5筋の歩が5四なら☗5五歩☖同角☗同銀☖4九飛成に☖4六銀とするしかなく、振り飛車に正確に指されると先手悪い。)

 

どうしてくるかと考えていたら(☗4六同銀の局面における後手の正解手も前述の『激減の理由』に載ってます。マジであの本情報量多すぎてすべてを理解するの大変)、S氏はじっと☖4一飛。

 

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☗4五銀で押さえ込み完了・・・と考えていたら☖1五角があるんですよね。1筋側の端歩はよく「居飛車の税金」と呼ばれていますが、滞納したツケがまわってきました。ここで☗1六歩とするようでは証文の出し遅れ。このあたりから本局の作りにチグハグ感が出始めます。

 

 

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ちょっと進んで上の図に。角の動きを楽にするために4五の位を取りましたが、この地点は銀や桂が進む地点。今見返すと4七から打つべきだったのですかね?

さて、この局面で方針がさっぱりたたずに苦心しました。☗3五歩は流石に無理だし、☗6五歩も☖7七角成で取る駒がない。やるなら5七~6八~7九と銀を引きつけ松尾流に組むか。ただ、☖5五歩とか☖4六歩とか気になりますよね。

ただ悩んでも時間はすぎるばかりなので、手渡しで☗1五歩☖1二香☗2九飛☖9二香と進行。☗2九飛で将来の3六歩の当たり弱めたのでそろそろかと判断して☗3五歩を決行しましたが、☖9六歩で青褪める。

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わざわざ☖9一飛車の余地作って端攻め準備万端のタイミングで、なぜ歩を渡す動きしてんの!!

 

しまった、やらかしたー・・・と呆然としながら下図に進行。

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とりあえず歩は渡せないと思い☗3四歩。そうしたら☖1一角と引かれて3六に傷もできてしまい、受けるなら☗2六飛だけど、ついでに飛車先切った方がいいか、と☗2四歩☖同歩☗同飛。

何かのはずみで☗2二歩で角筋シャットアウトできるし、ここは☖2三歩でそこで☗2六飛としてなんとか端攻めもちこたえられたら御の字・・・とか考えていたら☖9七桂成でさらに青褪める。

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飛車死んでんじゃん!!!

 

☗同銀☖2三香に☗3三歩成で犬死ではないものの、一瞬だけ本気で投了考えました。

 

結構進んで下図。

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とりあえず大駒は取りかえしたものの、☖5六と☗同金☖9四歩で今度は角が死ぬ。ここまで悪くなったら考えても仕方ないので☗8四角と特攻。悪くなってしまったものは仕方ないので、相手玉の陣形に傷をつけておかないと逆転はあり得ない。

8四でバラして☗6五歩とちょっかいを出した下図。S氏に決め手があります。

 

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ここは☖6七角とすればほぼ終了。受けるなら☗6八桂しかないですが、☖7八角成で絶望。

本譜は☖8五桂☗8八銀引☖9五歩ですが、☗8六銀が根性で打った銀。駒の損得が関係ない玉頭戦にもちこんでワンチャン狙い。正直、物量差が酷いので、ひっくり返すのならばそれしか望みはないと思って指していました。

 

そんなこんなで進んで下図。一旦☖9六歩と取り込んだ歩を成り捨ててこの図になっているあたり、後手も変調をうかがわせる進行です。

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 ここから☗9六桂☖8三歩☗4二角☖6三金引☗2四角成と進みもしかしたら逆転したかもと手ごたえを感じました。2四の馬が将来的にいいポジションに設置できそうですし、6八に利いているため横からの攻めをほぼほぼ食い止めています。そしてなにより、9六の歩を成り捨てたことがマイナスになっています。

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あきらめずに頑張っていればいいことあるもんですね。

とはいえ、油断は禁物。このあとも玉頭でのねじり合いを続けて約40手後。

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ここで安直に☗9六銀として自玉の安全を図ろうとすると☖9七歩で怪しい事になります。そのため、☗7四歩からたたき合いへ。

以下、☖8八桂成☗同銀引☖9六歩☗7三歩成☖同金☗9六銀☖9七歩☗同銀☖同角成☗同桂☖9六飛と進んで下図。

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自玉が詰まなければ詰めろをかけて勝ちに見えます。が、しかし。読み切れないので本譜は☗8八銀。ソフトにかけるという事をしない文化圏の人間なので正解はわかりませんが、詰んでいなかったと思います。ただ、詰まなかったとしてもうっかり逃げ間違いで頓死とかもありえるので、この判断は正しかったと思います。

以下、☖6九銀☗7七金寄☖7四香が詰めろではないので(さらに言えば☖6九銀も詰めろではないのでそこで相手玉に詰めろかけるべき)☗5三角としてやっと勝ちを手繰り寄せました。

 

最後はS氏の頑強な抵抗に遭って総手数191手。お互いに悪手や決め手を逃すなどしたせいで大熱戦に。久々に疲れ果てる将棋でした。

・・・それにしても、今から見直せばよくあの飛車詰んだ局面から逆転できたものだと思います。県代表同士でも、あきらめなければごく稀にこういうこともあるんですね。最近は淡白な将棋が多かったのですが、もっと粘るようにしないといけませんね。

 

 

これで2年連続の決勝進出。お相手は元奨励会三段のK氏。県代表を獲るための、最後にして最大の壁に対峙することになりました。

 

 

 (続く)