ねいぴあの雑記帳

ドミニオンとか将棋とかミステリとか脈絡のない雑記帳

2018.2月 読んだ本

石持浅海  月の扉

 

あらすじと感想:

国際会議を控えた那覇空港でハイジャック事件発生。犯人の目的は沖縄警察に拘留されている「師匠」を滑走路に連れてくること。そんな航空機の中で何故か乗客の死体が発見されるーーー

特殊な状況のクローズドサークルもの。何故ハイジャックされた飛行機のなかで、どうやって誰が事件を起こしたのかが謎。howの一部とwhoはみえやすくなっていますが、それ以外については総じてよくまとまっています。また、用意された結末も見事。「師匠」の造形がちょっと現実離れしている点と、機内の緊迫感がやや欠けている点はちょっと残念でしたが、本作の構図を考慮すると致し方ない(特に前者は舞台設定上外せない)かと思われます。総合的に見て快作といえるかと。

 

早坂吝  ◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件

 

感想:

第50回メフィスト賞受賞作。個人的に、メフィスト賞受賞作はいい意味で「ぶっ飛んでる」作品が多いイメージですが、本作も想像以上のぶっ飛び方で大満足。その大ネタを支える伏線の張り方も上手さを感じます。

 

北野新太  透明の棋士

 

感想:

新聞記者である著者の、棋士女流棋士に対するインタビュー17編。インタビューといってもショートなものばかりで、発行社のレーベル「コーヒーと一冊」にふさわしい分量にまとまっています。

等身大の棋士たちを爽やかに描く仕上がりで、将棋や棋士に興味を持って、深く知りたいなという方々に特にオススメ。

 

先崎学 世界は右に回る(再読)

 

感想:

将棋世界に連載された先崎九段のエッセイ集。先崎先生のエッセイは中学生の頃から好きで、今でもたまに読み返したくなります。

将棋世界に掲載されたのが、ちょうど羽生七冠誕生のころで、先崎先生がC2からなかなか昇級できなかったころでもあります。そんな中で、昇級を決めた直後に書かれた「ここ数年のこと」は先崎先生にしか書けない文章かと。また、昭和の匂いも色濃く残る棋士の日常も楽しく読める一冊です。

 

市川優人 ジェリーフィッシュは凍らない

 

あらすじと感想:

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……

第26回鮎川哲也賞受賞作。「そして誰もいなくなった」、「十角館の殺人」などを代表としたクローズドサークル内における全滅モノなのですが、このテーマでは斬新な趣向をしっかりとした筆致で読ませる作品。作品の出来には大満足なのですが、この手のテーマはこういう魅せかたにしかもはや生き残る道がないのかな・・・とちょっと哀しかったり。

 

大崎善生 編集者T君の謎

 

感想:

作家・大崎善夫が将棋世界編集長時代に見た将棋界や、作家に転身後のヨーロッパ滞在記などをまとめたエッセイ集。前述の「世界は右に回る」とほぼほぼ同時期の将棋界の話も多くあり、棋士として見た世界と、棋士以外の業界人から見た世界との対比がおもしろかったです。(そんな意図で同時期にこの2作を読んだわけではなくたまたまでしたが)

 

井上真偽 その可能性はすでに考えた

 

あらすじと感想:

カルト教団が運営する村で暮らしていた少女は、斬首による集団自殺から、ともに暮らす少年の手で助けられ、唯一の生き残りとなった。だが、その少年は首を斬り落とされながらも少女を抱えて運んだというのだ。

事件から十数年後、かつての少女は事件の謎を解くために探偵の元を訪れる。その探偵は、奇蹟の存在を証明するため、全てのトリックが成立しないことを示すーーー

 

探偵側が考えうるトリックを全て否定することによって、奇蹟の存在証明を果たそうとする異色のミステリ。扱われる事件の不可能性が強いため、とんでもないバカトリックが立て続けに披露されますが、その悉くを否定する探偵側の"否定の論理"はなかなかに見事。

だだ、最後の「敵」との対決から先は、イマイチ盛り上がりに欠けたかなと。「敵」のロジックの性質からして仕方がない部分ですが、対決の終わりがあまりにあっさりしている感じがします。

とはいえ、幕間を挟んだ最終章での幕引きは美しく、総じて満足の出来。人を選ぶ作品かもしれませんが、ロジックの組み立てを好む方は読んでみて損はないかも。

2018.2.18 支部名人戦県予選

約1ヶ月ぶりに大会に出てきました。残業多くてほとんど将棋指せてなかったのですが、元奨三段の方がでてなかったのでもしかしてチャンスあるかな?と思ったのですが…

 

予選リーグは辛うじて抜けて、決勝トーナメント一回戦は日頃お世話になっている研究会の主宰の方と。悲観しすぎて自爆気味の指し手が多かったのですが、お相手も間違えてくれてなんとか勝ち。

で、改めてトーナメントの表を見ると、自分の山は中高生しかいないというね…

これはなんとしても決勝までいかなくてはと気合をいれて臨んだのが功を奏したのか、準々決勝、準決勝と勝てて(準決勝はかなり危なかったのは内緒)トントン拍子で代表決定戦にいけました。

 

決勝の相手は県の第一人者のS氏。元学生王将で、全国大会の常連です。

 

 

S氏の四間飛車に居場所穴熊で対抗して下図。 

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 駒組負けしとる…  

 

 最悪千日手かなーと思っていましたが、駒組みに時間使いすぎて秒読み寸前。(そんなに時間使ってなぜこんな駒組み下手くそなのか)少ない持ち時間で後手番引いてまでもう一局やるよりかは動いてしまったほうがいいかと考え☗1五歩として少し進み下図。

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 ここからS氏の捌きにご注目。

☖4四角☗同角☖同飛☗1四歩☖3五歩。 

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 ここまで綺麗に捌かれると普通はダメとしたものですが、☗4五桂ととりあえず駒を前に進めてチャンスを待ちます。

 

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 ちょっと進んで上図の局面。本譜は☗3二角☖4五金☗2一角成と進んだのですが、見えていなかった順がありました。

☗2一角成に代えて☗5七金がそれ。 

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7六には3二角が利いている・・・!!

☖4九角成くらいですが、☗5六金が絶品。この手順があるならけっこう大変な形勢だったんですかね。

 

5四の地点に馬を置くことを目標にしていましたが、7六の地点に利きがあることが見えてなかったです。

 

 

下図は最終盤。

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 ここから ☖9七香不成☗8八玉☖8五桂☗9三歩成☖同玉☗9六香☖9四歩。 

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 上の局面は何か勝ちがあるだろと思っていたのですが。実戦は☗7ニ馬から読んでいましたが上手くいかないのでパニクって、8五に歩が進めば寄せやすいと最後の5秒で方針転換して☗8六歩としたのが敗着。以下、☖5八歩成☗8五歩☖6八と☗同金引☖8六銀で負け。 

 

 さて、9四歩の局面はなにかなかったのか。感想戦で触れられたのは☗8六歩に代えて☗9五歩。以下☖9八香成☗同玉☖9七銀☗8九玉☖5八歩成☗9三歩成☖7一玉。

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ここで☗4五馬がたぶん詰めろ逃れですが、☖6八ととされると・・・

 

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 後手玉が詰まない・・・!

※ソフトにかけていないので上記感想戦の結論は正確ではない可能性あります。

 

さて、では☗9六香に☖9四歩の局面はどうするべきか。他の選択肢を後日考えていましたが、☗7七桂はどうか。 

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 先手玉は8五の桂がいなくなればかなり延命できそう。一例で考えられるのは以下☖同桂成☗同銀☖8五桂☗8六歩☖5八歩成☗8五歩☖6九と☗7二馬。こういう展開なら勝ちかなと。

 

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 まぁ、こうはならないでしょうが、チャンスのある終盤戦が続いたのかなという気がしています。

ちなみにこの将棋、116手と短手数でしたが不動駒は2枚のみ。しかもその2枚が四間飛車居飛車の対抗形なのに4七と2三の歩という不思議な将棋でした。

 

久しぶりに県代表のチャンスでしたが、ここ最近の調子を考えれば準優勝でも致し方なしでしたかね。また次のチャンスがきたときにはものにできるよう頑張ります。

 

 

 

2018.1月 読んだ本

どこまで続くかわかりませんが、月ごとに読み終えた本の感想でも挙げていこうかなと思います。基本的にミステリ多め。あらすじが書いてあったりなかったりするのは感想書くタイミングでの気力の問題です・・・

 

1月は年始の休みで結構読めた月でした。

 

 

白井智之 人間の顔は食べづらい

 

感想:著者のデビュー作。食用クローン人間が合法化された世界での特殊設定ミステリ。一点だけ、犯人視点でツッコミ所はあるものの、それ以外はこの世界ならではの展開や、仕掛けが上手く噛み合ってリーダビリティの高い仕上がりかと思います。

グロ描写がちょっとだけあるのでその点は注意かも。

 

謎の館へようこそ 黒

 

感想:「館」をテーマにした、講談社タイガから出版された短編集。同タイトルの「白」も刊行されてます。黒の方は読者を選ぶかも。個人的ベストはネタでは白井智之の首無館の殺人、ストーリーでは井上真偽の囚人館の惨劇。

 

深水黎一郎 ミステリーアリーナ

 

感想:多重解決をテーマに据えた意欲作。舞台設定も踏まえて、発想の勝利でしょう。このテーマにおける傑作。

 

天袮涼 キョウカンカク

 

感想:メフィスト賞受賞作家、天袮涼のデビュー作。「音が視える」共感覚の持ち主を探偵役としたシリーズ第1作でもあります。探偵役の音宮美夜や、依頼人の矢萩のキャラがたっていて、サクサク読み進めることができました。

最終盤で明かされる、様々な謎を解く鍵となる犯人の動機は衝撃的で、満足度の高い一冊。

 

天袮涼 闇ツキチルドレン

 

感想:「キョウカンカク」シリーズ2作目。四面楚歌の状態から美夜が紡ぎ出す真相はなかなか見事。…と思いきや、その後に色々な意味で度肝を抜かれました。

矢萩さんの意味深なセリフもあり、続編読むのが楽しみ。

 

深水黎一郎 エコール・ド・パリ殺人事件

 

あらすじと感想:芸術探偵シリーズの一作目。「呪われた芸術家たち」とまで呼ばれた、通称エコール・ド・パリの一段に魅せられた画廊の社長が自宅の一室で刺殺体となって発見された。部屋の窓下には犯人の足跡はあるものの、その窓は閂で閉ざされ、そこには何故か被害者の血が塗り込められていたーーー

「読者が犯人」という禁断のテーマに挑戦したデビュー作とはうってかわって、ベッタベタな雰囲気の著者の第2長編です。タイトルにもはいっている、ある芸術家の一集団に作中作の形で触れらていますが、芸術とは無縁の私でも楽しく読み進めていくことができました。

ただ、その作中作と、破滅的な捜査陣のあるキャラクターを除いては、ストーリーの展開は地味な印象。ところが、読者への挑戦状を挟んでからの急展開は圧巻の一言。まったく想定していない真相にはやられました。

芸術とミステリが融合した傑作です。

なお、破滅的なキャラクターは著者の別作品で「大べし見警部の事件簿」で主役として登場し、ミステリのお約束を破壊する怪作に仕上がっています。

 

加納朋子 ななつのこ

 

感想:第三回鮎川哲也賞受賞作。作家と女子大生の文通を通して描かれる、連作短編集です。

作中で語られる、文通のキッカケになる作品も本作のタイトルと同一で、しかも本作も作中の「ななつのこ」も、似たような謎が扱われるユニークな作りになっています。

あまり他のミステリでは見られない、透き通った情景描写や、予定調和のような結末と相まって、読み終わると心が洗われる、そんな一冊です。

 

島朗 島研ノート 心の鍛え方

 

感想:伝説の研究会"島研"のリーダー的存在の島九段の綴る、メンタルの強さを軸としたエッセイ集。将棋に限らず、勝負事に関わる人は読んで損はないかと。惜しむらくは、下り坂の今ではなく、上昇志向の強かった高校生の時に読みたかった。

 

大山誠一郎  密室蒐集家

 

感想:密室蒐集家なる、密室に絡む謎が起きるとどこからともなく現れる不思議な存在を探偵役とする、タイトル通り「密室」をテーマにした短編集。各編に通じてなのですが、細やかな手かがりから導き出される密室蒐集家の解決は見事の一言。謎とその解明に特化し、その他の描写は可能な限り削ぎ落とした自分好みのミステリです。

個人的ベストは"何故密室はつくられるのか"に特化した講義が語られる「理由ありの密室」。

2017年

お久しぶりでございます。

 

唐突ですが、「今年の漢字」ってあるじゃないですか。私の場合は今年は「衰」ですね。

 

というのも、三十路の足音が聞こえてくる年齢なわけですが、体力や集中力の低下を如実に実感している今日この頃でありまして。

盤に向かう気力も起きませんし、ドミニオンもstefドミで1〜2戦でダレてしまいますし、ミステリも長編読む冊数もかなり減りました。

 

こんな生活していると、どことなく日常が空虚なものに感じられて、やるせない気分な日が多い一年でした。このような感情と向き合うのは初めてのことで、対処法がわからずに戸惑いの渦中でいつまでもがけばいいのか、焦りも感じています。

 

 

全体的にはそんなネガティブな一年でしたが、いいこともありました。

まず一つは県名人獲得。小学生から青森で将棋を指してきてずっと、県名人というタイトルはその時代の第一人者が就くものという憧れがありました。将棋を始めた当初はまさか自分がその座につくとは夢想だにしない出来事で、決勝終わった直後は感無量でした。今後味わえるかわからない、あの瞬間の感情だけは、ずっと胸の内に大切にしまっておきたいと思います。

 

もう一つはドミニオンオンライン杯で予選全勝で抜けたこと。あの大会、実績も実力も自分より一枚も二枚も上の方々ばかりが参戦しており、その大会で予選全勝で抜けて決勝トーナメントの8人に名を連ねたことは光栄でした。

将棋と違ってドミニオンの場合は大会に参加するということが非常に少ないので、あの大会期間中のヒリヒリする緊張感、とても楽しかったです。また、決勝トーナメント初戦のAutoさんとの戦いも2戦であんなに消耗する長時間ゲームだったこともいい思い出です。

 

 

さて、来年は、恐らく部署異動がある仕事の上でも、元奨励会三段の方が県棋界に復帰したため、アマチュアの将棋プレイヤーとしても正念場を迎える一年になるかと予想されますが、どこまで踏ん張れるか不安と期待が入り混じっています。

そんな勝負の年になりそうなので、ブログの更新頻度は今まで以上に落ちそうですが、来年もお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。

それでは皆様、少し早いですが良いお年を。

アマ名人戦振り返り(その2)

他の全国大会と違って、アマ名人戦の予選リーグは1-1になったときは同ブロックの1-1者との対局になります。(他の全国大会は隣のブロックと)

別にどっちでもいいといえばどっちでもいいのですが、できれば統一してほしいなと思ったり。

 

○予選3回戦

 

そんなわけで、予選3回戦は1回戦でも対局した京都のU氏と再戦。今回はこちら後手で相掛りに。U氏の中原流☗3七銀を工夫した序盤になり下図。

※先後反転してます。

 

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この戦型を相手にする時は、基本的に6五の位を取って戦うようにしています。中終盤で☖6六歩が切り札になるのが大きいというのがその理由。

 

というわけで、上図でも趣旨にのっとり☖6五歩と突いたのですが、当然U氏は☗5六歩。他の手だとすぐに☖6六歩からの継歩に垂れ歩で先手に苦労が多そう。

 

次に☗5五歩で銀を退却するようではなにをやっているかわからないので、当然動きます。☖6六歩と迷いましたが本譜は☖8六歩。

 

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持ち時間が50分30秒ということもあって、このあたりでは久々に15分くらい長考したような気がします。ただ、後で書きますが、長考した割には内容の質は褒められたものではなかったです。

 

☖8六歩の狙いは☗同歩☖同飛☗5五歩に☖7六飛。

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☗6九玉なら☖4五銀があります。長考の中身は基本的にここから☗5四歩としたときの変化。流石にやって来ないだろうとは思っていましたが、いざ考えてみると難しい変化多くて、ついつい楽しくなって読み耽ってしまいました。

 

☖8六同飛に対する応手はは何種類かあったと思いますが、本譜は☗2二角成☖同銀☗8八銀。

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この対応なら、☖6六歩~☖6五歩と☖9四角をからめればなんとかなると考えていて、まずは☖6六歩☗同歩を入れます。

その後☖9四角には☗8七銀で上手くいかないことを確認し、じゃあ☖6五歩かと思っていたら、☗6四角があるんですね・・・

完全に読み抜けていました。

あそこまで考えたのに・・・と意気消沈して☖8二飛と退却しましたがじっと☗8七歩とされ、手段が無くなり以下は完封負け。

 

1-2で予選落ちとなりました。

 

 

さて、本譜☖8二飛のところでは実はほかに手段があったようです。がっくりきたタイミングではまだ時間があったので冷静になって考えるべきでした。

☖8二飛では☖7六飛がありました。

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☗7七銀は☖7四飛で☗8二歩(角)が利かないので、U氏の予定は☗7七桂とのこと。以下、☖6六飛☗6七歩☖6二飛で長い勝負ですがこれなら五分でしたかね。

 

ここまで長考したときに読めていればよかったのですが、そうではないのが今の実力という事でしょう。

 

 

他の方の対局も見る機会ありましたが、今大会の出来では自分の立ち位置としては1勝できて御の字というラインでした。

現在、青森県棋界では中高生の実力向上や、元奨励会3段の方の復帰など、非常に県代表を獲りにくい状況にあります。そのため、次の機会がいつになるかはわかりませんが、もしまた県代表になった時にはもう少し良い結果残せるようにはしたいものです。

 

 

 

 

アマ名人戦振り返り(その1)

アマ名人戦から帰青しました。

 

結果は冴えないもので、読みの精度や量、早さ、すべてにおいて他の選手よりも劣っていると痛感した大会でした。将棋に向き合う時間をもっと増やさないと、このままでは下降線をたどる一方だとは自覚していますが、正直なところ、帰ってきた今の段階では壁の高さを改めて肌で感じてモチベーションがそこまで上がらないわけで。

とりあえず、10月の赤旗、朝日の県予選終わった後に今後の身の振り方についてゆっくり考えることとします。

 

さて、以下は指してきた将棋の振り返り。

 

○予選1回戦

 

予選リーグは京都代表のU氏(元奨励会)、長崎代表のI氏(立命OB)、東京代表のK氏(元学生名人)と同じブロック。厳しいあたりであることは否めないですが、全国大会の予選はどこの組に入ってもこんな感じですね。

 

予選1回戦は京都のU氏と。

 

こちら先手でU氏の横歩取り8四飛に勇気流じゃない方の6八玉型を選択し下図。

 

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ここで☗3七銀が形勢を損ねた1手。無難に☗2七歩と謝って、☗4六歩~☗4七銀☗3七桂☗3八金を目指せば一局だったように思います。

本譜は☖3四銀☗2七歩☖1五歩☗同歩☖4五桂☗4六銀☖1八歩☗同香☖1九角☗5八飛☖2六歩と進行。

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手筋の端を絡めた攻めで飛車先突破が受からず、苦戦に見えますがここから☗3五歩☖2三銀☗4五銀☖2七歩成☗2五歩☖同飛に☗4四桂が予定していた切り返し。☖同歩に1六角の間接王手飛車があるのでこの筋は成立しないと思っていましたが、☗1六角に☖2六とがあるのをうっかり。

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ここで☗3六銀は☖2四歩☗2五銀に☖同歩と角ではなく銀をとられて駄目。☗2五角☖同との進行では後手だけ桂馬を手持ちにしてなおかつと金も残っているので結構差が付いていますね。

☗3七銀とする直前で☗1六角打つ変化までは想定していましたが、そもそもこんな危ない橋渡らずに無難な順を選んでおくべきでした。

 

少し進み、下図。

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ここでは☗8五飛で頑張れるかなと思っていました。☖7二銀には☗3五飛☖3四歩☗2五飛☖2四歩が想定される進行ですが、と金を消し、歩切れにさせているので苦しいながらも頑張れそう。

本譜は☖4五と。これには同銀で、☖同歩なら☗8一飛成で4四のスペースが空くので後手も嫌かなと。☖8四歩☗同飛☖8三歩☗同飛成☖7二銀☗8四竜☖4五歩なら☗2四歩。

どちらになるかなと思っていたら、☖9三桂!!

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これは痛い。

以下☗8一飛成☖4五歩☗9一竜☖8二銀打☗9二竜☖4六歩に☗8四香と最後の勝負手を放ちますが、☖8一歩が冷静な好手。

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代えて☖7四角ならまだ頑張れそうでしたが、ここで観念しました。以下は順当に押し切られて負け。

 

序盤の不用意を咎められ、そのまま逆転を許さず押し切られるという、完敗という語がふさわしい敗戦でした。

 

○予選2回戦。

 

本大会は2連敗の選手には宿泊権が与えられず、よってこの対局に負けると疲れた体をひきずりながら4時間半かけて自宅まで戻るか、自腹でホテルを探すかというどちらを選んでも味の悪い結果になります(笑)

 

対戦相手は長崎のI氏。東北六県大会でも試みたあの作戦をぶつけて下図。

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突っ張った指し手を続けてこうなったわけですが、この局面の成否は後程。

以下、☖8八角成☗同銀☖6二飛☗6八玉☖6五歩☗7七銀☖6四角と進行。

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この角のラインを生かした攻めを受け切れるかが勝負所。☗3七角☖同角成☗同桂☖6四角☗3八金☖3六歩☗4五桂☖3七歩成と進みましたが・・・☗1五角!!

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うっかりしていたそうで、以下はいくばくもなくこちらの勝ちに。

ちなみに、☖3七歩成に代えて☖2八角成も☗1五角と4八に効かせる手があります。

 

さて、話は戻って本譜2度目の☖6四角のところでは、実は☖5四銀と退却する手があります。

 

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次の☖3六歩が異様に受けにくい。☗2六飛は☖3六歩☗同飛☖2七角があります。なので、こう進んだら非を認めて☗1八角と打つ予定でしたが、これでは冴えないですよね。

実はこの筋、後手が☖6二飛☖6五歩の2手が無くてもあって、その場合はこちらの玉の位置が5九なのでさきほどの☖2七角がないのですが、その代わり☗2六飛には☖1五角☗3六飛☖4五銀で駄目。

ということは、最初の☗3四歩とした局面がやや苦しいという結論になります。(☖8八角成☗同銀に☖5五角とすれば上記の順になる)

どこかで☗5六歩か☗6九玉とかで1手溜めるのが正解でしたかね。ここ最近使っている指し方なので、実戦も研究も不足しているのが結果に表れなかったのは幸運でした。

 

これで1勝1敗。次戦は予選抜けを懸けた対局です。

 

(続く) 

 

ドミニオン新拡張:「Nocturne」発表

Twitter上や他のドミニオンブログでもすでに情報が出ておりますが。

 

http://riograndegames.com/Game/1328-Dominion-Nocturne

 

帝国に次ぐ、11番目の拡張セットの発表です。直訳すると「夜想曲」ですか。

以下はRio Grande Gamesの上記HPからの引用です。

This is the 11th expansion to Dominion. It has 500 cards, with 33 new Kingdom cards. There are Night cards, which are played after the Buy phase; Heirlooms that replace starting Coppers; Fate and Doom cards that give out Boons and Hexes; and a variety of extra cards that other cards can provide.(引用終わり)

 

  • 33種の王国カード
  • 購入フェイズ後に使用するNightカード
  • ゲーム開始時に銅貨と置換されるHeirloom(家宝)
  • BoonとHexをもたらすFate/Doomカード
  • さまざまな特別なカード―――他のカードを供給する

 

重要な情報としてはこんなところですか。(英語力低いので、間違ってたらすいません)

 

10/18に発売で、例年のごとくカードプレビューも発表になるとの事。冒険や帝国発売前夜の盛り上がりがまた見れそうですね。

 

ここまでは、他の方々のブログでもわかる内容になってますので、ここから先は新拡張発表に伴い、個人的な思いをつらつらと。

 

ドミニオンの拡張セットは、新拡張が発表になるに伴い、新しい概念がその都度追加され、ドミニオンというゲームの枠が変容しているイメージです。

  • 陰謀:大広間や貴族といった複合タイプを持つカード
  • 海辺:トークンやマット、持続カード
  • 錬金術ポーションという新たなコスト
  • 繁栄:プラチナと植民地、勝利トーク
  • 収穫祭:サプライ外からのカードの供給(これは闇市場ですでに表現済みだが)
  • 異郷:獲得地効果
  • 暗黒時代:廃棄時効果、避難所、廃墟
  • ギルド:コイントークン、過払い効果
  • 冒険:リザーブカード、トラベラーカード、イベント
  • 帝国:ランドマーク、負債、スプリッド

ざっと思いつく限りだと上記のような感じ。そして、当たり前ですが拡張規模が大きければ大きいほど、それに比例してゲームの枠組みも大きく変容しているように感じます。

個人的にそれを感じたのは暗黒時代と冒険、帝国。

暗黒時代はそれまでの拡張で最多の35種類の新規王国カード群を保有。この拡張で出てきた廃棄時効果はなんというか、王国カードの組み合わせで「できること」があまりに多くなりゲームの複雑さ・インタラクションの多様さがいきつくところまで到達した感じがします。

だからというわけではないでしょうが、冒険では「イベント」という王国カード以外の考え方が登場し、新規王国カード最多の36種類を誇る帝国では、ついには得点計算に大きくかかわる「ランドマーク」が発表されました。

 

自分がドミニオンをやり始めた時は、基本・陰謀しかなかったため、そのときのことを思うと隔世の感がありますね。

 

さて、今回の新拡張では33種類の王国カードということで、これは現在発表になっているなかでは3番目の規模の大きさ。そして、すでに発表になっている情報を見るに、どうやらまたゲームの枠組みが大きく変わる予感がします。

冒険や帝国、基本陰謀2ndの考察全然深まっていない現状なので、期待と不安が入り乱れていますが、とりあえずは約2か月後の全容発表を楽しみにしたいと思います。

 

・・・ところで、Stefドミにはすぐ実装になるのでしょうか。なるにしても、日本語訳終わるまでは日本語・英語表記混じった対応になるのでしょうか。