ねいぴあの雑記帳

ドミニオンとか将棋とかミステリとか脈絡のない雑記帳

2019.3.10 有段者選手権

久々に将棋で嬉しい報告ができるときがやってきました。

 


標題の大会で優勝し、東北六県大会の代表権を獲得。優勝は二年前の県名人以来なので、一年十ヶ月ぶりです。

 

 

 
およそ二年間、本当に長かった。もう優勝できないのかなと思うこともありましたが、結果が出せて良かったです。

 


とはいえ、本番の舞台は先にあることと、去年のGC戦に出場した選手のうち半分以上が出てない大会だったので、あまり浮かれるわけにはいきませんが。

 


以下恒例の振り返り。

 


○準々決勝

 


お相手はT氏。去年のGC戦以来。

 


参考:

napier2784.hatenablog.com

 

 

かねてから長い持ち時間で試してみたかったツノ銀雁木を採用。あまり県内で使っている人いない印象なので他プレイヤーの目が慣れていないのじゃないかな?という理由。

 

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しかし、元々相矢倉を主戦場にしてきた人間からするとやっぱり雁木で入城している陣形は違和感がありますね。玉頭と端の耐久力があまりにも無いように見えて怖い。

 

それなら6九に玉を置いておけばいいのでは?との疑問も出るかもしれません。しかし、本譜の進行は後手の右銀がやや立ち遅れているので中央から動きたい。となると玉の位置は中央から遠い方がいいと判断して入城しています。

 

上図から☗2四歩☖同銀☗4五歩☖4三金引☗5五歩☖3三銀☗5四歩☖同金☗3五歩☖同歩☗5六銀右と進行。

 

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想定通り中央から動き、局面を動かすことには成功しましたが、局面の良し悪しは別。当然の☖8六歩☗同歩☖8七歩の反撃で大変な勝負だと認識していました。

 

紆余曲折あって下図。途中の折衝で上手くやって、ここでは少しいいのかなと思っていましたが・・・

 

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形勢いいときは自然に指せばいいか、と楽観して☗8五歩がどうだったか。

以下、☖8六歩☗同金☖9四桂☗8七金☖8六歩☗7七金☖2四歩と進行して玉頭に重石を置かれると差がぐっと縮まった感じがします。

 

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☗8五歩に代えては☗7七金がこの際の筋だったと思います。☖8六歩には☗8三歩。2三の角が働き乏しい現状では、あとは飛車も抑え込んでしまえば自然に勝ちまで持っていけるだろうという考え方ですね。

一方、上の図は後手の飛車が自由なので全く話が違います。ただ、実戦はまだ楽観していて、ここから☗6二歩成。飛車だけなら脅威はないと思っていたら、☖4五銀で目が点に。さっきまで2三の角は飛車でロックしていたので完全に盲点になっていました。こうなるなら☗6二歩成はほとんどパスになっているので辛い展開です。

 

ちょっと進んで下図。少し前と比べて後手の飛車も角も急所にいて相当マズいと思っていました。

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 ただ、何が起こるのかわからないのが将棋というゲーム。☗6四馬☖4五角☗3一銀☖1二玉☗5四馬☖同角☗2四飛☖2二歩☗3二金☖1一銀☗3三歩成と進行し逆転。

 

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最後の☗3三歩成をうっかりしたとのこと。後手玉は必至で、ここから詰ましにきましたが詰まずに勝ち。

ただ、☖1一銀とせずに詰ましにきても、☖4四角☗3三歩成から詰ましに来ても、感想戦の結論は先手玉は恐らく詰まず。

後手の修正案としては、☗5四馬に本譜は同角でしたが、代えて☖2七角成なら恐らく先手負けでしたね。 

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☗同馬が詰めろではないのが痛いんですよね。

先手玉の詰み形考えた時に、角を持っておきたい図をしていたので☖5四同角を選んだと思うのですが、もしそうだとしたら運が良かったです。

 

 

○準決勝

 

 準決勝の相手はK氏。伸び盛りの若手で、以前は同じ研究会で指していたのでお互いある程度手の内はわかっているのですが、同年代の若手に比べて手厚い将棋で力を発揮する傾向にあると勝手に予想していました。

 

というわけで、この日は先手引いたら基本雁木使おうと思っていたのですが予定変更で相掛かりへ。

 

K氏の趣向の駒組に対して淡々と組んだ下図。

 

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中原囲いがよく用いられる横歩取りと比較すると、

  • 後手の持ち歩が少ないこと
  • 先手の手損がなく、攻めを受け止める体制が整っていること

以上2点から、仮にここから後手が動いてきても十分対応できると判断していました。また、動かないとしても駒組を進める有効手が後手には少ないのではないかとも思っていて、どちらに転んでも先手指しやすい、要は上の図は作戦勝ちだと考えて指していました。

 

実際、K氏は上の図から☖7五歩でちょっかいを出そうとしてきましたが手厚く受け止めて・・・

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万全の態勢を整えて・・・

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攻めさせて駒を蓄えたタイミングで玉頭から反撃して勝ち。

 

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一局通してほぼ完璧なゲームメイクでした。毎回こうなればいいのに。

 

 

○決勝

 

決勝の相手はE氏。準決勝で当たったK氏と同年代で、直前の大会で支部名人戦の県代表を獲るなど今県内で一番勢いのある若手です。

 

ちなみに、これまでの棋歴を思い起こすにこういうカードでは踏み台にされることが多かったため、普段の決勝に比べて”流石に今回も踏み台にされるわけにはいかない”と別種のプレッシャーもかかっていたのは辛かったです。

 

とまぁ、対局前は緊張で震えていましたが、いざ始まってみると事前に勉強しておいた内容がそのまま盤面にでてきてラッキー。

気分は「あっ、これ進研ゼミでやったところだ!」ですよ。

 

具体的に言うと、こちら先手で稲葉先生の雁木本のp93で☖8四銀に代えて☖6四銀とした将棋になりました。気になる方は実際買って確認していただくとして、どうもこちらの指し方をお相手知らなかったようで、知識量だけで優位を築いた珍しい一局でした。やっぱり毎回こうなればいいのに。

 

この将棋で個人的に印象に残ったのは下の☗5五角打った図。

 

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手の善悪は別にして、楽観せずにしっかり腰を落として自分が最善と思える手を指せた局面です。いつもの(準々決勝でもそうでしたが)温泉気分で”これくらいでいいだろう”という悪癖を封じ込めたという意味で、一週間経った今でも印象に残っている図です。

 

元のつくりが大差だったため、上の図から幾許もなく勝ち。

 

県代表同士ではかなり珍しいレベルでの大差勝ちで、プレッシャーとか関係ない展開になったため、稲葉先生には感謝ですね。

 

 

 

県タイトルを久々に獲って嬉しい気持ちも大きいですが、実際問題として最初のほうに書いた通り本番は次の六県大会。いわばトライアルレースで勝っただけとも言えます。しばらくは喜びに浸りますが、また次の舞台や他のタイトル戦までにしっかり準備して臨みたいと思います。