東北六県将棋大会振り返り(その2)
初戦、0-3スタートと最悪の出だしだった青森県チーム。岩手を叩けなかった時点で、正直優勝は絶望的。しかし、上位入賞の為にも、代表を目指して惜しくも及ばなかった他の選手たちの為にも、適当な将棋を指すわけにはいかない。気持ちが折れそうになりましたが、なんとか立て直して迎えた2回戦。お相手は福島県。
2回戦:対福島県
福島のチーム編成は先鋒に若手エースの大学生、副将が大学の後輩で、出身の福島に戻ってからは県大会優勝を複数回果たした成長株。この2人は将棋の内容はある程度把握していたのですが、大将のH氏は面識がなく、戦型選択が読めなかったです。
しかたがないので、図書館に通い福島の地方紙の将棋欄を読み漁り、どんな将棋を指すか下調べしました。自分が目にした将棋の印象では「対抗形党」。ただ、相居飛車の将棋もあるにはあった(H氏の対戦相手の自戦記の文中で意外な将棋になったと言及があった)ので、薄い確率で相居飛車もありえるかなと考えていました。
果たしてどうなったかというと・・・
岩手戦で指したかった戦型に。その1で触れた「極限」早繰銀ってこれのことです。名人戦第3局でも出てきましたね。
以下、紆余曲折を経て下図。
壁銀にさせてポイントを挙げているのは対局中実感していたものの、具体的な手順が思い浮かばず、焦りを感じていました。あと、玉が薄いのと、歩越の銀2枚の活用法の目途が立っていないのもマイナスポイント。じっと☖5二金とか指されていたらホントに焦ったと今振り返って思います。
実戦は☖9五歩☗同歩☖9七歩☗同香☖8五銀と動いてきたのですが、☗7四歩が切り返し。一歩で一手稼いで☗9四歩☖8六歩に☗9三歩成が入り優勢を意識。
以下☖8四飛☗8六歩☖9六歩☗同香☖8六飛に☗9七歩という珍しい受け方がでて、あとは後手の飛車を目標に左辺で戦えば壁銀の分自然に勝てるなと思っていたのですが・・・
数手進んで下図。9二とから香車を取りに行っている(8三ととすれば一手で取れる)のは、と金を置いておいた方が飛車をいじめやすいという思想からです。
しかし、それなら当然☗7五銀としそうなものですがね。☖同角から暴れてこられるのを恐れたのですが、流石に受け止められるでしょう。実戦は☗3七桂。次の☗4五桂の味に惚れ込んだのですが、方針からそれるとたいてい良くないことが起こります。
当然の☖5五歩!!
・・・もうね、絶句ですよ。いや、対局中は当然無言なのですが、心の中がですね。要はうっかりなのですが、あまりの酷さに思考が止まりました。
以下ちょっと進み下図。角を動かして5五香としたい。でも☗2二角成は壁銀を解消するので物凄く抵抗があります。ということである手を指したのですが、もうね、ホント対局しながら病気だと思いましたよ、以下の順は。
ここから☗8二角成?☖7七歩☗6七金☖7八歩成☗5八玉???
まず☗8二角成ってなに?5五からどかしたいのはわかるけど、そっぽに行く必要ないですよね?6六でいいですよね?
それはそれとして、もっとヤバいのが最後の☗5八玉。いや、取ろうよ。
8二の馬にヒモがついていないことに直前で気が付いて、取ると☖9七桂成から☖8四飛があることに気が付いて大パニックに。しかし、☖9七桂成☗7五銀☖同角☗同歩☖8四飛に☗8六香で受かってますよね。
なんで2つ前の図からこんなに自玉がピンチになりますかね?この記事書きながら泣きそうです。実際問題、逆転していたと思うのですが、この後にお相手のH氏にうっかりがありなんとか勝ち。
・・・いや、勝ったはいいものの、内容がヤバすぎる。片目が開いたのはいいのですが、2日目以降に大きな不安を残す対局でした。
チームは2-1で勝ち。なんとか踏みとどまった感じです。
1日目の対局はこれで終わり。全体の展開はやはり岩手が2勝。それも個人成績も3人とも全勝。大会史上初の15-0での完全優勝もちらついてきました。
(続く)