2018.6月 読んだ本
青崎有吾 アンデットガール・マーダーファルスⅠ
感想:
鮎川哲也賞受賞作『体育館の殺人』を皮切りとした学園モノの裏染シリーズが代表作に挙げられる青崎有吾の新シリーズの舞台は、雰囲気を一転させて伝説の怪物が跋扈する19世紀末のヨーロッパ。
人が忌み嫌う「怪物専門」の事件を取り扱う探偵集団”鳥籠使い”一行をメインキャラクターに添えて繰り広げられる物語は、舞台が変われど作者特有の軽妙な会話が主体でコミカルに進んでいきます。
2章に分かれた本書は、そのどちらも特殊設定を生かした解決に仕上がっており、特に第1章の「吸血鬼」のハウダニットは秀逸。
序章や作中で語られる輪堂鴉夜と津軽真打の出会いやそれぞれの過去、最後に明らかになる”鳥籠使い”一行の敵など、次作への期待感も十分な”笑劇”(ファルス)を堪能させてもらいました。
汀こるもの 火の中の竜
あらすじと感想:
インターネットよろず相談所「さらまんどら」を本拠とする”炎上専門”の探偵「オメガ」。パソコン教室の講師であるぼくは「オメガ」の数々の非常識な解決を目の当たりにして・・・
小説は、いつ読んでも色あせない輝きを放つものと、タイムリーな話題を扱うため出版当時が最も強い輝きを放つものとの2種類あると考えています。
で、あらすじを読んでご理解いただいたと思いますが、本書は後者。インターネットが遍く普及し、様々なトラブルが表面化してかつその解決策も一義に定まっていないこのタイミングが最も楽しめるタイミングだと思われます。
青崎有吾 アンデットガール・マーダーファルスⅡ
感想:
前述の作品の続編。”鳥籠使い”一行の敵や、シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパンも登場し、超豪華な顔ぶれ。
ルパンが予告状を出したある宝石をめぐる争奪戦なのですが、宝石をめぐる攻防戦や、その前の”笑劇”も、予想外の展開に驚き、笑わせてもらえました。
ただ、個人的にはその後の戦闘シーンが冗長に感じられました。キャラが多いので致し方ないのでしょうが、推理対決みたいな展開になるのかなと勝手に期待していた自分が悪いといえばそれまでなのですが・・・(笑)
最終盤には新たなキャラも登場し、3作目も楽しみです。